[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more.. ]
一度仕事を辞めてしまったものの、経済的な理由や環境の変化などで再就職したいと考えている看護師さんはとても多くいます。
ところが、仕事をしていなかった時期が長くなるほど、どんなふうに再就職したら良いのかわからずに戸惑っているようです。ただやみくもに適当な職場に入職しても、あなたに合わない職場だったら、また辞めざるを得なくなるかもしれません。
スムーズに自分に合った職場に再就職するには、まず「以前、どうして仕事を辞めたのか」を思い出してみることです。
あなたは自分が仕事を辞めた理由を明確に言えますか?辞めた理由は、あなたの看護師としての仕事観やライフスタイル、性格などに深く関わっています。
辞めた理由を明らかにして、それを再就職に活かすことで、あなた自身の潜在的な理想や欲求を本当に満たすことができる職場を見つけることができるのです。
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以前仕事を辞めた理由を明確化する
再就職をする前に、まずは以前仕事を辞めた理由を思い出してみることが大切です。辞めた理由がはっきりすれば、また同じ理由で退職することを避けられるからです。
以前辞めた理由は、あなたにとって重要な事だったはずです。辞めた理由は、あなたの看護師としての理想や仕事との相性と深く関わっていますから、自分にピッタリの再就職先を見つけるには絶対に必要な手順になります。
仕事中心の生活に嫌気がさして辞めた
夜勤に休日出勤、サービス残業と、仕事に追われて休みも取れない生活に嫌気がさして辞めてしまった方は多いと思います。
人手不足や利益追求のために、看護師に無理をさせている病院はたくさんあります。でも、その一方で看護師の労働環境に最大限配慮している医療機関等も、実はとても多いのです。
「私の人生、仕事だけだった!」という方は、このような職場を選ぶことで納得できる再就職ができます。
「夜勤回数が多くて生活リズムがグチャグチャ」、「4週8休の契約だったのに、実際は1ヶ月の休みが7日しかない」、「毎日残業があるのは当たり前。日勤の日は病棟を出るのは消灯後」。こんな環境の中で仕事をしていたら、仕事中心でプライベートは二の次という生活になりますので、仕事を辞めたくなるのは当たり前です。
あなたの仕事を辞めた理由が「仕事中心の生活に嫌気がさした」というのであれば、再就職先は仕事中心の生活にならないようなところを選べばよいのです。
「そんな職場はあるの?」と思うかもしれませんね。確かに、看護師不足や利益追求の面から、看護師1人あたりの仕事量がとても多く、残業は当たり前、さらにはサービス残業を強いられるという医療機関もあります。
でも、最近は看護師不足だからこそ、今働いている看護師さんを大切にして、残業時間を減らしたり、年間休日を多めにする医療機関も増えているんです。また、仕事内容の違いで、一般的な病棟よりも残業時間が少ない職場もあります。
仕事中心の生活に嫌気がさして辞めたという人は、そういう職場を選ぶと、前と同じ理由でまた辞めるということを避けることができます。
職場の人間関係が悪かった、いじめが原因で辞めた
職場の人間関係が悪かった、いじめにあって辞めたという人もいますよね。看護師の人間関係はドロドロしていることが多いのですが、すべての職場がそうではありません。人間関係が良いところもたくさんあります。
職場の人間関係のトラブルに巻き込まれた、人間関係に疲れてしまった、いじめられたという理由で前の職場を辞めた人は、次の職場は人間関係が良いところを選ぶことが再就職成功への第一歩です。
看護師の職場は、人間関係がドロドロしていることが多いと言われています。女性が多い職場で、ストレスが多い仕事だからかもしれません。
人間関係が悪い職場の場合、女同士の派閥争いや足の引っ張り合いは当たり前です。そして、そのことで患者さんに迷惑をかけてしまうことがあります。
いじめも看護師の職場に多い問題です。嫌がらせや理不尽な説教はよくあることですし、無視されることもあります。いじめから守ってくれるはずの師長や主任も、いじめに加わっていることすらあるのです。
人間関係のトラブルに巻き込まれたり、いじめにあうと、精神的なストレスがたまっていきます。ストレスがたまれば、仕事のミスも増えますし、体調を崩してしまうこともあるでしょう。
人間関係が悪いことやいじめが原因で辞めた人は、再就職先はそのような精神的ストレスがないところを選べばよいのです。
仕事と育児の両立ができずに辞めた
仕事と育児の両立ができずに辞めるママさん看護師もたくさんいます。看護師の仕事はハードですので、育児との両立は大変です。仕事と育児を両立できず、どちらも中途半端になってしまうことが多いのです。
ただ、仕事の環境さえ整っていれば、育児との両立は不可能ではありません。再就職先にはそういう職場を選べば、仕事と育児をきちんと両立させることができるでしょう。
看護師の仕事は、体力的にも精神的にもとてもハードなものです。そして、育児もハードですよね。仕事も育児も手抜きはできませんので、この2つを両立させるのはとても大変です。
小さなお子さんを持つママさん看護師は、お子さんを保育園に預けて働いている人がほとんどだと思います。でも、保育園はお迎えの時間が決まっていますので、みんなが残業しているのに1人だけ先に退勤しなければいけないこともありますし、保育園で子供が体調を崩せば、早退してお迎えに行かなければいけません。
若い独身の看護師が多い職場環境で、子供が理由の早退や残業免除が続くと、同僚から白い目で見られるようになります。そうすると、職場にいづらい雰囲気になって、結局退職するしかなくなるのです。
育児に理解のある職場、仕事と育児を両立させられる環境・条件のある職場を再就職先に選べば、以前と同じ理由で退職することなく、仕事と育児をしっかり両立することができます。
夜勤が辛く体調をくずして辞めた
夜勤があると体力的にもきついですし、生活リズムが乱れますので、体調をくずしやすくなります。体調をくずしてしまうと、仕事どころではなくなりますので、辞めざるを得ないのです。
夜勤が辛く体調をくずして辞めた人は、次の再就職先は夜勤がない日勤だけの仕事を選ぶようにすれば、再就職しても体調をくずすことなく働くことができます。
夜勤は普通は寝ている時間に働きますので、眠くて体力的にきついものです。しかも、夜勤専従でない限り、日勤でも働かなくてはいけませんので、生活リズムは乱れます。
「2日間は日勤、翌日は夜勤に入り、1日休んでまた日勤」などのシフトで働いていたら、ホルモンバランスが崩れて、肌荒れや慢性疲労、睡眠障害になって、体調をくずしてしまうのも仕方がないことです。
体調をくずしてしまったら、仕事どころではありません。自分の体調を回復させるために、仕事を辞めなくてはいけなくなります。
夜勤が辛かった、夜勤で体調をくずしてしまったという理由で、以前の職場を辞めた人は、再就職先には夜勤がないところを選びましょう。そうすれば、今度は体調不良に悩むことなく働くことができます。
仕事を辞めた理由別の再就職成功法
仕事を辞めた理由を明確化させて、再就職する時に気をつければ同じ失敗をせずに済みますね。
では、仕事を辞めた理由別にどのような職場が特にオススメなのか、理想的な職場を探す際の注意点などにも触れながら具体的にアドバイスしていきます。
仕事中心の生活に嫌気がさして辞めた人
仕事中心の生活に嫌気がさして辞めた人は、きちんとプライベートな時間を確保できる職場、ワークライフバランスがしっかり取れる職場を再就職先に選びましょう。
具体的には、残業時間が少ないところや年間休日が多いところ、有休消化率が高いところなどがオススメです。こういう職場に再就職すれば、仕事中心の生活にはなりませんので、同じ理由で辞めることもなく長く勤められますね。
残業時間の少ない職場を選ぶ
残業時間の少ない職場を選びたい場合は、療養型病院や介護施設がオススメです。療養型病院や介護施設は、患者さんの急変は少ないですし、緊急入院もありません。つまり、突発的に仕事が増えることがないのです。
また、療養型病院や介護施設には介護士が配置されていますので、食事介助や排泄介助などの仕事は介護士が行います。ですから、看護師は看護業務に専念できるのです。このことも残業が少ない理由の1つです。
年間休日数や有給消化率を確認して選ぶ
きちんと休日を確保したいという場合は、年間休日数や有給消化率を確認して再就職先を選びましょう。年間休日数は120日以上、有給消化率は80%以上がひとつの目安です。
市民病院や県立病院、国立病院機構などの公立病院は、年間休日数が多く、有給消化率が高めになっています。
公立病院は公的な機関であり、公立病院で働く看護師は公務員扱いになります。公的機関は、年間休日や有給消化などの勤務規定をきちんと守る必要がありますので、公立病院は民間の病院に比べて年間休日数が多く、有給も取りやすいのです。
ただ、民間の病院も年間休日が120日以上だったり、有給消化率が80%以上というところもありますので、公立病院だけに絞らずに、民間の病院も含めて幅広く探したほうがより良い再就職先を探すことができます。
職場の人間関係が悪かった、いじめが原因で辞めた人
職場の人間関係が悪いことやいじめが原因で辞めた人は、人間関係が良いところを再就職先に選びましょう。そういう職場を選べば、人間関係で悩むこともなく、精神的なストレスから解放されて、長く勤めることができます。
再就職先に人間関係が良いところを探すには、インターネットの口コミと看護師専門の転職サイトを使うことをオススメします。
職場の人間関係は、「忙しいところは人間関係が悪い」、「ゆとりがあるところは人間関係が良い」などの傾向はありません。その病院の雰囲気や師長の人柄による部分が大きいのです。
ですから、普通にただ求人情報を眺めているだけでは、そこの人間関係が良いかどうかは見えてきません。
人間関係が良い職場を探すには、インターネットを使って、その病院の口コミを見てみましょう。病院の口コミは患者さん目線のものですが、看護師の対応や病院の雰囲気などを知ることができます。看護師の人間関係が悪かったら、患者さんにもそれが伝わることがありますので、口コミは参考になります。
そして、より確実に人間関係が良いところを探すなら、看護師専門の転職サイトを使いましょう。転職サイトの担当者は、その病院の細かい内部事情を知っていますので、人間関係が良い職場をピックアップしてくれます。
仕事と育児の両立ができずに辞めた人
仕事と育児の両立ができずに前の職場を辞めた人は、仕事と育児を両立できる環境が整っている職場、育児に理解のある職場を再就職先に選びましょう。具体的には、院内託児所があるところがオススメです。
院内託児所があるところで働けば、お子さんを安心して預けられるという大きなメリットがあります。そして、ママさん看護師がたくさん働いているというもう一つのメリットもあるのです。ママさん看護師が多い職場は、育児中でも働きやすい職場、育児に理解のある職場ということです。
厚生労働省の調査によると日本全国の病院の30%以上が託児所を持っていますので、院内託児所がある病院を探すのは大変なことではありません。
でも、院内託児所があればどこでもOKというわけではないのです。夜勤に入りたい人は24時間対応か、身近に子供が病気の時に看てくれる人がいないなら、病児保育OKかをきちんとチェックする必要があります。そのほか、学童保育もやっているかや食物アレルギーにきちんと対応しているかなども確認しておきましょう。
夜勤が辛く体調をくずして辞めた人
夜勤が辛く体調をくずして辞めた人は、再就職先には日勤だけの職場を選びましょう。日勤専従であれば、規則正しい生活を送ることができますので、体調をくずすこともありませんよね。
日勤だけの職場は、クリニックや介護施設、訪問看護ステーションなどがあります。ただ、それぞれに選ぶ時の注意点がありますので、それを確認しておきましょう。
クリニックを選ぶ
日勤だけの職場の代表といえば、クリニックです。普通のクリニックの診療時間は18時ごろまでのことが多いのですが、最近は夜遅くまで診療しているクリニックも増えています。夜に働きたくない人はそういうクリニックを選ばないように注意して下さい。
夜遅くまで診療しているクリニックには、透析クリニックや美容外科のクリニックがあります。どちらも会社帰りの人をターゲットにしていて、治療や施術に時間がかかりますので、夜22~23時ごろまで診療しています。
そういうクリニックを選んでしまうと、退勤するのは日付が変わるころ、そして家に帰るのは深夜0~1時になります。これは、準夜勤に入るのと同じことですよね。
夜勤に入りたくない人、日勤だけで働きたい人がクリニックを選ぶときには診療時間をよくチェックしましょう。
介護施設や訪問看護ステーションを選ぶ
介護施設や訪問看護ステーションも、基本的には日勤だけの勤務になります。ただ、オンコール体制をとっているところも多いので、「オンコール体制も嫌、完全に日勤だけの仕事が良い」という人は、オンコール体制の有無を確認しましょう。
介護施設の中でも、特別養護老人ホームや有料老人ホームの一部は夜勤がありません。訪問看護ステーションも日勤のみとなります。
でも、利用者さんや患者さんが夜間に状態が悪化した場合は、介護士や家族から電話がかかってきて、場合によっては施設や患者さんの自宅へ出向かなければいけません。これがオンコール体制です。
オンコールは当番制ですので、毎日オンコール当番をすることはありません。また、オンコール当番の日でも電話がかかってこないこともあります。
でも、いつ電話がかかってくるかわからないという状態では、自宅にいても完全にリラックスできません。ですから、完全に日勤だけが良いという人にはオンコール体制の有無はとても重要なポイントなのです。
まとめ
再就職を考えている看護師さんの参考になったでしょうか?せっかく再就職するのですから、長く勤められて自分にピッタリのところを選びたいですよね。
再就職を成功させるためには、以前辞めた理由を明確化して、それをもとに再就職先を探すことが一番の近道です。慎重に、妥協せず、納得できる再就職先を探しましょう。
前回辞めてから長期間仕事をしていなくて、看護知識や技術に不安を持っている人は、都道府県の看護協会や自治体が主催している復職支援研修に参加すると、自信を持って再就職できると思います。
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