[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more.. ]
クリニックと病院は、まったく違う職場です。
仕事内容やメリット・デメリット、求人選びで気を付けるべきポイントが、病院とは大きく違うのです。
病院の求人を選ぶようなつもりでクリニックの求人を選ぶと、間違いなく転職に失敗します。
クリニックへの転職を絶対に失敗しないためには、クリニックの仕事内容やメリット・デメリットを良く理解して、クリニックの求人選びのポイント23個を確認しておきましょう。
チェックポイントは、診療科や診療時間はもちろん、有床か、自由診療か、また、立地条件や通勤手当はどうなっているのか、さらに、休日や有給消化率、院長の性格はどうなのかなど23個あります。
「チェックポイントが23もあるなんて多すぎて面倒くさい!」と思うかもしれません。
でも、目を通して頂ければわかりますが、実はそれほど面倒ではありません。
しかし、このチェックポイントを全部確認しないと、クリニックの求人選びに失敗して、「転職なんてしなければ良かった」と後悔することになりかねませんので、ぜひしっかりとチェックして下さい。
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クリニックの看護師の仕事内容
クリニックで働こうと思っている看護師は、クリニックの仕事内容を知っておかないと、入職後に「想像していたものと違う!」と思い、ガッカリしてしまうことがあります。
クリニックの仕事内容
- 医師の診察の介助
- 服薬指導や療養生活の指導
- 点滴や採血
- レントゲンの介助
- 物品の補充や発注
- クリニック内の清掃
- タオルやシーツなどの洗濯
- 医療器具の滅菌
これらがクリニックの看護師の主な仕事内容になります。
クリニックでは病院と違って、スタッフ数が少ないので、掃除や雑用なども看護師が行わなければいけないことが多いです。
クリニックで働くメリット
クリニックで働くメリットは、次の3点があります。
- 日勤のみで日曜祝日が休日
- 重症患者がいない
- 残業は少なめ
急性期病棟の仕事に疲れてしまった人は、クリニックに転職すると良いかもしれません。
日勤のみで日曜祝日が休日
クリニックは、基本的に日勤のみで日曜祝日が休日になります。
クリニックは、ほとんどが無床クリニックですので、日勤のみの勤務になります。
また、日曜祝日を休みにしているところが多いですので、子育て中の看護師や既婚の看護師でも働きやすいです。
土曜日は診療しているクリニックも少なくないので、平日1日+日曜祝日が休日になるケースが多いです。
重症患者がいない
クリニックには重症患者がいないので、患者の命を左右するような精神的なプレッシャーはありません。
在宅で療養している患者が受診しますので、病棟のような重症患者はいません。
そのため、患者さんが急変することは、ほぼありませんし、重症で全身管理が必要で、目が離せないという患者もいません。
ですから、急性期病棟のような緊張感はなく、プレッシャーを感じずに働くことができます。
残業は少なめ
クリニックは診療終了時間が決まっていますので、病棟に比べると残業は少なめです。
そのため、定時退勤できることが多く、仕事が終わった後の予定の計画を立てやすいです。
「インフルエンザが流行している時期の内科クリニック」、「花粉症の時期の耳鼻科クリニック」などは、患者数が急増しますので、残業せざるを得ないですが、それ以外は残業は少なめになります。
予約制のクリニックなら、さらに残業が少なくなります。
クリニックで働くデメリット
クリニックで働くデメリットは
- 病院のような制度が整っていない
- 院長の権限が強い
この2つになります。
大病院でしか働いたことがない看護師にとっては、想像つかないようなデメリットになるのです。
病院のような制度が整っていない
クリニックは病院に比べると、規模がとても小さいので、福利厚生など職員向けの制度が整っていないことが多いです。
クリニックは医師1人、看護師数人、医療事務数人と小規模なところが多いです。
院長が経営者のところも多いですね。
一般的な言い方をすると、病院は大企業、クリニックは中小企業になります。
中小企業は、経営状態が安定していないので、福利厚生が整っておらず、必要最低限しか用意されていないことがあります。
そのため、総合病院や大学病院と同じような福利厚生を期待すると、痛い目を見ることになります。
院長の権限が強い
クリニックは院長が経営者になっているところが少なくありません。
そのため、院長の権限が非常に強いのです。
クリニックの雰囲気や方針は院長の性格や考え方に大きく左右されます。
また、院長の性格によっては、スタッフをえこひいきして、一部のスタッフのみを優遇したり、パワハラを受けることがあります。
クリニックによっては、病院のように「医師と看護師は対等な立場で働く」という考え方は通用しないのです。
クリニックの看護師求人を選ぶ時のチェックポイント
クリニックの看護師求人を選ぶ時には、次の23個をチェックして求人を選びましょう。
- 診療科を適切に選ぶ
- 診療時間は何時から何時までか
- 休憩時間はいつ、どれくらいか
- 有床クリニックかどうか
- 自由診療かどうか
- 給料はいくらなのか
- ボーナスの支給実績を確認
- 退職金制度はあるか
- 昇給はあるか
- 年間休日数や長期休暇制度
- 有給休暇の消化率の実態を知る
- 社会保険の利用状況
- 立地や通勤手当について
- 住宅手当の有無
- 育児休暇は取れるか
- 教育制度の充実度
- 残業の有無
- 常勤と非常勤の割合
- 看護業務以外の雑用は多いのか
- 契約書をくれるか
- クリニックの外観や内観
- 院長の性格や人柄
- スタッフの勤続年数
この23個をチェックして、納得してから求人を選ぶと、入職後に「こんなはずじゃなかったのに。転職失敗した…」ということを避けることができます。
診療科を適切に選ぶ
photo: http://www.egyptianhospital.com/
クリニックの求人を選ぶ上で、最もこだわるべきチェックポイントは診療科です。
興味のある診療科のクリニックで働けば仕事のモチベーションが上がります。
反対に、給料やそのほかの条件だけにつられて全く興味のない診療科を選んでしまうと、「もう辞めたい」と転職後すぐに退職を考えることになるかも知れません。
またクリニックの場合は、医師1人で「内科と小児科」、「内科と皮膚科」など、複数の診療科を診察することがあります。
1人の医師が複数の診療科を診察するクリニックは、幅広い知識・技術を身につけたい看護師さんにはメリットはありますが、1つの診療科を専門的に経験したい看護師さんには不向きですので注意しましょう。
また「内科」と看板を掲げていても、人工透析をメインにやっているクリニックもあります。
透析看護は専門性が高いのですが、一般的なクリニックとは知識や技術、雰囲気などが違いますので、透析を行っているかどうかは必ずチェックしておきましょう。
診療時間は何時から何時までか
診療時間もクリニックの求人を選ぶ上で重要なポイントです。
クリニックは、基本的に日勤のみで夜勤なしです。
でも、多くのクリニックは19時頃まで診療しています。
そのため、子育て中の人は保育園や学童保育のお迎えに間に合わないことがあるので、注意しなければいけません。
また、透析クリニックは23時ごろまで診療しているところが一般的です。
23時まで診療していたら、退勤は日付が変わるころになります。
そんな遅くまで働いていたら、それは準夜勤をしているのと同じことになってしまいます。
診療時間が長ければ早出・遅出などのシフト制になりますので、「日勤のみで規則正しい」というメリットもなくなります。
夜勤に入れないからクリニックで働きたいという人は、診療時間を詳しく調べて、無理なく働けるかをチェックしなければいけません。
休憩時間はいつ、どれくらいか
- そのクリニックの休憩時間はどのくらいか
- また他のスタッフはどういう過ごし方をしているのか
をチェックしましょう。
クリニックの診療時間は午前の部と午後の部に分かれていることが多いです。
8~13時、16時~19時などですね。
そうすると、看護師の休憩時間は13~16時のように長時間になります。
実働時間は8時間だとしても、拘束時間は11~12時間と長時間になることがあります。
もし、求人に応募しようと思っているクリニックが自宅近くであれば、休憩中に買い物をしたり、家に帰って家事をするなど時間を有効に使うことができます。
しかし、自宅から遠いクリニックの場合、休憩時間が長すぎると時間を持て余してしまいます。
また、いくら実働時間は8時間といっても、拘束時間が長いのは、なんとなく割に合わないような気持ちになることもあります。
休憩時間はどのくらい長いのか、また休憩時間が長くてもそれを有効に活用できる環境にあるかを確認しておくと良いでしょう。
有床クリニックかどうか
クリニックの中には有床、つまり入院設備があるところがあります。
有床クリニックの場合は夜勤がありますので、日勤のみで働きたいという人は必ずチェックしなければいけないポイントです。
クリニック(診療所)は医療法第1条の5第2項で「患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されています。
19床以下であれば、入院設備があってもクリニックに分類されるのです。
有床クリニックは分娩を扱っている産婦人科が多いのですが、一般内科や眼科でも入院設備がある有床クリニックがありますので注意しましょう。
自由診療かどうか
自由診療かどうかもチェックしておくポイントです。
自由診療のクリニックは、一般的な保険診療のクリニックよりも給料が高いというメリットがあります。
でも、診療内容が美容や見た目の関係するものであったり、保険診療が適用されない治療法だったりと少し特殊ですし、接遇(接客スキル)が厳しいというデメリットがあります。
自由診療のクリニックには
- 美容外科や美容皮膚科
- AGA治療専門クリニック
- がん治療専門クリニック
などがあります。
給料はいくらなのか
クリニックの給料は、
- 基本的に夜勤がないですし
- 職場規模が小さく、基本給は低め
- さらに各種手当もあまりつかないので
病棟勤務よりも低いことが多いです。
具体的な給料・年収は、地域や経験年数によって異なりますが、クリニックの看護師の平均年収は350~380万円前後になります。
ただ、クリニック勤務でも自由診療クリニックを選べば、月収30万円以上の高収入を得ることはできます。
美容皮膚科クリニックなら、月収35万円以上、年収500~600万円以上を稼ぐことも可能です。
また、透析クリニックも給料が高めです。
透析クリニックは夜遅くまで診療していますので、その分手当がつきますし、専門性が高いのでお給料も高めになっています。
ボーナスの支給実績を確認
クリニック勤務の場合は、ボーナスの支給実績をあらかじめチェックしておきましょう。
クリニックは職場によってボーナスの支給額に大きな差があります。
月収だけではなく、ボーナスもきちんとチェックしておかないと、年収換算をした時に大きな損をすることになります。
美容外科など自由診療のクリニックの中には、「業績に応じて毎月ボーナスを支給する」というところもあります。
しかし、小規模クリニックだとボーナスが1ヶ月分程度しか出ないところも珍しくありませんし、最悪の場合ボーナスゼロというところもあります。
特に院長が経営者の場合、ボーナス支給額は経営状態よりも院長次第ということがあります。
私が、友人の看護師から聞いた話だと、院長に気に入られれば「ボーナスが増える」、逆に院長と反りが合わなかったり、有給を使っただけで「ボーナスカット」というケースを知っています。
職場によって大きな差があるからこそ、クリニックの求人を選ぶ時は、ボーナスの支給実績をチェックしなければいけないのです。
退職金制度はあるか
クリニックの求人を選ぶ時には、退職金制度はあるかをチェックしましょう。
クリニックの中には退職金制度がないところがあります。
退職金の支給は会社(クリニック)の義務ではありません。
そのため、退職金制度がなくても、法律上は何の問題もないのです。
クリニックは小規模な職場ですから、職員のための福利厚生は法律で義務付けられている最低限度のものしかないことも珍しくありません。
退職金があるのかどうかで、人生設計は大きく変わってきます。
後々後悔しないためにも、退職金制度はあるかどうかは必ずチェックしておきましょう。
昇給はあるか
クリニックでは、「昇給が一切ない」というところもありますので、昇給の有無は必ず確認してください。
看護師は昇給率が低い仕事です。
ほかのコメディカルの職種と比べても、昇給率が低く抑えられています。
「看護師の賃金カーブ」の図
(赤のラインが看護師です)
引用:『病院で働く看護職の賃金のあり方』の提案 公益社団法人 日本看護協会 常任理事 勝又浜子(PDF)
それでも、ちょっとずつでも昇給していくのと、まったく昇給しないのでは、仕事へのモチベーションが変わります。
昇給がないクリニックは、どれだけ頑張っても、どれだけそのクリニックに貢献しても、お給料が上がることはありません。
頑張りをお給料の額で評価してもらえないなら、仕事へのやる気は下がる一方になりますので、経済的な面でもモチベーションの面でも、必ず昇給があるクリニックを選んでください。
年間休日数や長期休暇制度
クリニックは「カレンダーどおり土日祝日が休み」と思っているかもしれませんが、実はクリニックはあまり休日が多くありません。
特に連休は少なめです。
- 連休は月に何回あるのか
- お盆や年末年始はしっかり休めるのか
などは、あらかじめチェックしておきたいポイントです。
多くのクリニックは
- 休診日は日曜祝日だけ
- もしくは平日1日+日曜祝日
となっています。
そのため、看護師の休日も平日1日+日曜祝日というところが多く、普段の連休はあまり多くないのです。
一般的なクリニックは、ゴールデンウィークやお盆、年末年始は休診になりますので、その時期はある程度まとまった連休を取れることもあります。
しかし、ゴールデンウィークやお盆も診療しているクリニックだとそういうわけにもいきません。
完全に4週8休のみ、場合によっては4週7休、4週6休のみというクリニックもありますので、年間休日数や連休に関しては気をつけたいポイントです。
有給休暇の消化率の実態を知る
クリニックで働くなら、有給消化率もチェックしておきましょう。
クリニックは、基本的に有給消化率が高くありません。
でも、じっくり探せば有給消化率80%以上というクリニックもありますので、有給を使ってプライベートを充実させたい人は、有給消化率はチェックしておきたいポイントです。
クリニックはスタッフ数が少なくアットホームだから、有給休暇を取りやすいと思うかもしれませんが、スタッフが少ない分、余裕がなく、1人でも有給を取るとスタッフが足りなくなってしまうことがあります。
私の友人が働いていたクリニックでは、スタッフ間で、「自分たち自身で交渉して」代わりの人を確保すれば有給を使ってOKだったそうです。
でも、ただでさえ看護師が少なくて大変なのに、自分が有給を取るために、同僚の看護師に「代わりに働いて」という交渉をするのは無理だったため、「結局有給は使えなかった」と言っていました。
有給がなかなか使えないクリニックだと、自分が体調不良でも絶対に休めませんし、子どもが熱を出しても休めません。
クリニックによっては、病院勤務以上に有給が取るのが難しく、有給が有名無実化していたり、有給を取っただけでボーナスが下がるというケースもあるので注意しましょう。
社会保険の利用状況
クリニックの求人を選ぶなら、社会保険もチェックしましょう。
クリニックに常勤で勤めるなら、厚生年金に加入しているところを選んだほうがお得ですが、クリニックの社会保険は
- 医療保険は医師国保(医師国民健康保険)
- 年金は国民年金
になることがあるのです。
国民年金は保険料を全部自分で支払うため負担が大きく、さらに将来支給される年金額が少なくなるというデメリットがあります。
通常は自営業でなく、正社員(常勤)として勤務するのであれば、雇用側が保険料を一部負担してくれる厚生年金になるのですが、クリニックは独立した医師が経営している個人事業主(自営業)になりますので、国民年金になることがあります。
厚生年金保険法により、常時5人以上の従業員がいる場合は、厚生年金の加入が義務付けられていますが、従業員が5人未満の小さなクリニックは、厚生年金への加入義務はありませんので、国民年金になることがほとんどです。
また、医師国保は保険料が安めで、給料が上がっても保険料が上がらないというメリットはありますが、都道府県によっては産休中の出産手当が支給されないデメリットがあります。
立地や通勤手当について
立地や通勤手当など通勤に関係するポイントもチェックしましょう。
駅の近くで交通の便が良かったら、通勤の負担が減ります。
また、「通勤手当が全額支給されるのか」もチェックしておきたいポイントです。
駅からバスを乗り継いで、さらにバス停から徒歩20分かかる場所だったら、毎日の通勤だけでグッタリ疲れてしまいます。
また、クリニックは休憩時間が長いので、自宅から遠く、不便な立地だったら、長い休憩時間に何もすることがなく、結局クリニック内で雑用などをして過ごすことになります。
美容外科などの自由診療クリニックは、駅前や繁華街の利便性の良いところにあることが多いのですが、地域住民を対象としたクリニックは、駅やバス停から遠いところにあることも多いので、気を付けてください。
求人情報に徒歩〇分と書いてあっても、実際はもっとかかる可能性がありますので、グーグルマップなどの地図アプリで確認して、さらに求人に応募する前に、一度自分の足で歩いてみると良いと思います。
住宅手当の有無
さらに、住宅手当もチェックしましょう。
クリニックは病院とは違い、スタッフ数が少ないので、寮があるところは少ないです。
でも、寮がなくても住宅手当が支給されれば、家賃の経済的な負担が少なくなりますので、住宅手当の有無はとても重要です。
特に、1人暮らしや世帯主の看護師さんは、住宅手当の有無は必ずチェックしましょう。
育児休暇は取れるか
クリニックでは、育児休暇を取れるかを確認しなければいけません。
クリニックでは、残念ながら、育児休暇が取れずに退職しなければいけないことがあります。
いわゆる「マタハラ」(マタニティー・ハラスメント)があるクリニックが実在します。
制度上は育児休暇制度があっても、妊娠したと報告した途端に、退職に追い込まれることがあります。
クリニック側としては、産休+育児休暇で1年以上も休まれると、その間の看護師確保が難しいから、それなら辞めてもらって、新しい看護師を雇用しようと考えるのです。
大病院なら、労働組合がありますし、そのあたりの福利厚生はしっかりしているので、育児休暇を取るのは普通のことです。
でも、院長が経営者の小規模なクリニックでは、マタハラが珍しくないのです。
今後、出産する予定が1%でもある人は、育児休暇は取得できるか、制度があるだけでなく、取得実績はあるのかを確認してください。
教育制度の充実度
クリニックは病院のように教育制度が充実していないことが多いです。
そのため、クリニックは看護師経験がある中途採用者向けの職場です。
ただ、いくら看護師経験はあると言っても、初めてクリニックで働く場合は、何から仕事を始めれば良いのか、どんなことに注意して仕事をすれば良いのか不安ですよね。
「初めてクリニックで働く」、「未経験の診療科のクリニックで働きたい」という人は、できるだけ教育制度が整っているクリニックを選びましょう。
クリニックの中には、中途採用者にプリセプターをつけたり、OJTでしっかりと現場教育をしてくれるところもあります。
教育制度が全くないところに転職すると、スキルアップどころか、「表面上の仕事はできるけど、詳しい部分はわからない」という状態で仕事をしていかなくてはいけませんので、大きなミスをするリスクが高くなるんです。
残業の有無
残業の有無をチェックすることも大事です。
メリットの項目でも説明したように、クリニックは基本的に病棟に比べると残業は少なめです。
しかし、診療科や、時期によっては、クリニックでも残業が多くなる場合があります。
また、患者数に対して看護師数が明らかに足りていないところは、毎日のように残業しなければいけないこともあります。
「クリニックだから残業がない」と思い込んでいると、実際に働いてみたら「残業が多くてウンザリした」ということになりかねません。
- 内科クリニックは、インフルエンザやノロウイルスの流行時期は忙しくなりますので、残業が多くなります。
- また、花粉症の時期は、耳鼻咽頭科や眼科は残業が多めになります。
- 透析クリニックは透析中の急変があれば残業することもあるでしょう。
残業ができるだけ少ないクリニックを選ぶなら、1日の来院患者数があらかじめ決まっている予約診療制のクリニックをオススメします。
常勤と非常勤の割合
クリニックの求人を選ぶ時には、常勤と非常勤の割合を調べて下さい。
常勤の看護師があなた1人だけだと、あなたの負担がとても大きくなってしまいます。
たとえば、常勤看護師はあなた1人、その他は、みんなパートの看護師さんだった場合、最終的に看護業務に責任を持つのはあなたになります。
非常勤のパートの看護師は「パート」だからと雑用や掃除をしない、必要最低限のことしかしない可能性もあります。
また、何より常勤看護師が1人だと
- なかなか休めない
- 連休が取れない
- 有給は絶対に使えない
ということになりかねません。
クリニックで常勤で働きたい場合には、常勤の看護師があなた以外にもいるかどうか、常勤と非常勤の割合はどうなっているかを調べておきましょう。
看護業務以外の雑用は多いのか
クリニックでは、病院とは違い、看護師は看護業務以外のことも行うのが普通です。
クリニックの掃除やタオル、シーツなどの洗濯、受付や医療事務の仕事を手伝うこともありますし、物品の発注も行います。
クリニックの看護師の業務範囲は幅広く、看護師は「何でも屋」のような存在なのです。
でも、あまりに雑用が多いと、看護師として働いているという実感がなくなって、「こんなの看護師の仕事じゃない!」とクリニックに転職したことを後悔するかも知れません。
そのクリニックでは、どのくらい、どんな雑用があるのか、よく調べておきましょう。
契約書をくれるか
クリニックは院長経営の小規模な職場ですので、採用になっても、きちんとした契約書をもらえないことがあります。
労働条件などがきちんと書かれた契約書がもらえないと、給料や休日数、勤務時間などが面接で聞いていたのと違った時にトラブルになります。
面接での説明と実際の労働条件が違った場合、契約書があれば、それを提示して、「約束が違います!」と文句を言うことができます。
でも、契約書がなければ、クリニック側に「そんな説明していないよ」と言われて終わりです。
気持ちよく働くためにも、あなた自身を守るためにも、契約書をきちんと文書でくれるかどうかを調べましょう。
契約書を出すことを少しでも渋るクリニックは、「ブラックなクリニック」の可能性が高いので気を付けてください。
クリニックの外観や内観
クリニックの求人を選ぶ時には、外観や内観をチェックしておきましょう。
今の時代、外観や内観が古いクリニックは、あまり患者が集まりません。
その結果、経営不振で閉院する可能性もあり、あなたは失業してしまうかも知れません。
「クリニック」というと、明るくきれいなイメージを持っていると思いますが、中には「クリニック」という看板を掲げているのに、昭和の診療所のようなところもあります。
せっかく働くなら、明るくてきれいな職場で働きたいですよね。
暗くて古くて、なんかジメジメしていて、トイレは和式しかないようなクリニックだったら、仕事のモチベーションを保つことができません。
クリニックの外観は、実際に行ってみればわかります。
内観は健康なのに患者として受診するわけにもいかないので、職場見学をさせてもらいましょう。
職場見学の時の対応で、クリニックの雰囲気などをある程度掴むことができると思います。
院長の性格や人柄
クリニックで気持ちよく働けるかどうかは、院長の性格やキャラクターによると言っても過言ではありません。
クリニックで気持ちよく働き、長く勤めたいのであれば、院長の性格チェックは必須です。
クリニックは経営者である院長が大きな権力を持ち、「ワンマン社長」と言える絶対的な存在ですので、スタッフ数が少ないクリニックでは院長の存在はとても大きいのです。
院長が温厚で誰にでも優しく接する性格であれば、気持ちよく働けますし、クリニック内の雰囲気も良く長く勤められるでしょう。
逆に、院長がキレやすかったり、スタッフには高圧的に接する性格だったら、そこで働くだけで疲れてしまいますし、職場の人間関係も悪くなりがちです。
患者さんには優しく評判が良い場合でも、スタッフには厳しいこともありますので注意が必要です。
患者には良い顔をするのに、看護師にはすぐに怒鳴りつけるクリニックの医師を私は何人も実際に知っています。
スタッフの勤続年数
クリニックの求人選びのポイント、最後はスタッフの勤続年数です。
スタッフの勤続年数が偏っている場合、注意が必要です。
たとえば
- 1人は20年以上の大ベテランで
- あとの2人は1年未満
のようなところですね。
このようなクリニックは、お局看護師が幅を利かせていて、ほかの看護師やスタッフをこき使っているような可能性があります。
また、全員の勤続年数が短いと、院長に問題ありの可能性もあります。
クリニックはアットホームで人間関係が良好というイメージがあるかもしれませんが、少人数で毎日同じ顔触れで働くからこそ、人間関係のトラブルが起こりやすいのです。
また、1度トラブルが起こると、なかなか修復するのは難しいですので、クリニックの求人を選ぶ時には、人間関係が良いところを選ばないといけません。
そして、そのための1つの指標がスタッフの勤続年数なのです。
まとめ
クリニックの看護師求人を選ぶ時のチェックポイント23個を見てきました。
これら23個のチェックポイントをあらかじめ確認しておかないと、「このクリニックに転職しなければ良かった・・・」と転職を後悔することになりかねません。
これら23個のチェックポイントの確認方法は
- 自分で求人情報を隅々までチェックしたり
- インターネットでそのクリニックのホームページを確認するほか
- 看護師転職サイトで、コンサルタントに無料で調べてもらう方法
もあります。
特に、契約書の有無は自分ではなかなか言い出しにくいですし、院長の性格やスタッフの勤続年数などは自分ではなかなか調べる方法がありませんので、代わりに転職サイトのコンサルタントに調べてもらうと良いと思います。
この23個のチェックポイントをしっかり確認すれば、クリニックの求人選びは成功間違いなしです!
更新:2018/02/20
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