[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師). more.. ]
看護師はストレスが多い職業ですので、「うつ」になりやすいと言われています。
「最近、何をしても楽しくない」、「やる気が出ない」、「気分が落ち込む」という「うつ」の症状に悩んでいる看護師さんも多いと思います。
「ひょっとして私、うつかな?」と思ったら、早めの対策が肝心です。
まずは「うつ病」かどうかをチェックしましょう。
うつ傾向にある人とうつ病の人では、対策が違います。症状に合わせた対策法を取ることで、早く治すことができるのです。
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うつ傾向にあり今後うつ病になる可能性がある人は、生活習慣を見直すなどうつ病の予防法を実践して、本格的なうつ病になるのを防ぐ必要があります。
うつ病の疑いがある人は、医療機関を受診し、診療を受けたり、仕事のストレスを取り除くなどうつ病を改善するための実効性のある対策を取るようにしましょう。
早め早めの対応で、うつ状態もうつ病も重くならないうちに、スムーズに回復、治癒できますので、心配しないでこの記事を参考にまずは簡単なチェックからはじめてみましょう。
うつかどうかをチェックしよう
気分が落ち込む、やる気がでないなど「うつかな?」と思ったら、まずは簡単にできる「うつかどうか」のチェックをしてみましょう。
うつかどうか簡単にチェックすることで、次にどうすれば良いかの対策を立てやすくなりますし、病院を受診するきっかけ作りにもなるのです。
うつかどうかをチェックする方法の1つに医師が診断に用いるうつ病の診断基準「大うつ病性障害 DSM-5診断基準」があります。
このうつ病診断基準を基に作成したうつ病診断フローチャートで、今のあなたの状態がうつかどうかを確認しましょう。
<うつ病診断フローチャート>
「うつになる可能性あり」の人のための予防法
うつ病診断フローチャートで「うつになる可能性あり」と診断された人は、このままの生活を続ければ、うつ病を発症してしまうかもしれません。うつ病を発症しないためにも、うつの予防法を実践してきましょう。
うつの予防法には、「ストレスを溜め込まないこと」、「食生活を改善すること」、「日光を浴びること」の3つがあります。どれも、日常生活内で簡単にできる予防法ですので、すぐに実行することができます。
仕事のストレスは溜め込まない
仕事のストレスを抱えこんだままにしていませんか?ストレスを溜め込んでいると、うつ病を発症するリスクが高まります。退勤途中にできるストレス解消法を見つけて、ストレスは家に持ち込まず、退勤途中に捨ててくるようにしましょう。
退勤途中でできるストレス解消法の1つに、スポーツクラブで汗をかくことがあります。汗をかくことは、能動的な癒しになりますので、ストレスを解消することができます。
ただ、運動が嫌いという人もいますし、仕事の後に運動する気力がないという人もいますね。そういう人は、マッサージやエステに行っても良いですし、退勤途中にお気に入りのカフェによって、美味しいコーヒーを飲んでホッと一息つくだけでも良いのです。
自分なりの癒しやストレス解消法があればそれでOKです。その癒しやストレス解消法を退勤途中に実践し、ストレスは退勤途中に捨ててきて、家には持ち込まないようにしましょう。
毎日の食生活を見直す
食生活を見直すことでも、うつ病を予防することができます。うつと食生活は、実は深いかかわりがあるのです。食生活を見直して、栄養のバランスに気をつけ、うつの予防に効果のある栄養素を積極的に取ることで、うつを予防することができます。
食生活を見直すことは、うつ病の予防だけでなく、あなたの健康増進に役立ちますので、今すぐ実践しましょう。
うつ病のメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、脳内のセロトニン不足が関係しているとされています。うつ病を予防するには、このセロトニンを増やせばよいのです。
セロトニンの原料はトリプトファンですので、トリプトファンをたっぷり含んだものを積極的に食べるようにしましょう。トリプトファンは、肉類やチーズ、牛乳などの乳製品、納豆や、たらこ等に多く含まれています。
また、レバー類やほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、納豆やアボカドなどに多く含まれる葉酸もうつ病予防に効果があります。
国立国際医療センターや国立健康・栄養研究所などの共同研究である「栄養摂取量とうつ症状との関連:成人日本人を対象とした横断研究」で、葉酸の摂取量が増えれば増えるほどうつ症状の人が少なくなるという結果が出ています。
うつ病を予防するためには、トリプトファン、葉酸を積極的に取りつつも、栄養のバランスに気をつけた食生活を送るようにしましょう。
じゅうぶんに日光を浴びる
うつ病は日光を浴びることでも予防することができます。日光を浴びるとセロトニンが分泌されるのです。脳内のセロトニンが増えれば、うつ病を予防することができます。
日光を浴びるのは、晴れた日の昼間に屋外に出れば良いだけですから、お金もかからず今日から簡単にできるうつ予防法です。
休日は疲れているからと昼過ぎまで部屋を暗くしたままベッドの中で休んでいませんか?これは、疲労回復をしているつもりでも、実はうつになるリスクを高めている行動なのです。
冬は日照時間が減少するため、冬限定のうつ病「冬季うつ病」になる人が増加します。そのくらい、日光とうつ病は関係しているんです。
ちょっと疲れていても、昼前には起きて、日光を浴びるために外出してみてみましょう。外出がおっくうという人は、部屋の中でも日当たりの良いところに移動すればOKです。
「軽度うつ」「うつ病」の場合の対処法
うつ病診断フローチャートで「軽度うつ」や「うつ病」と診断された人は、今すぐうつ対策を実行しなければいけません。「まだそんなに重症じゃないから大丈夫」と思っていると、うつ病はどんどん悪化していきます。
うつ病が悪化すれば、仕事を続けるどころか、入院しなければいけなくなったり、最悪の場合は自殺企図で命を落とす可能性もあります。自分自身を守るためにも、うつ対策はできるだけ早く実行しましょう。
うつ対策は、「心療内科や精神科を受診して専門医の治療を受けること」、「師長に相談してストレスの少ない働き方に変えること」、「ゆっくり休むこと」の3つがあります。どれもうつ症状を改善するためには、欠かすことができない重要なものです。
心療内科や精神科を受診する
うつは病気ですので、治すためには専門医の治療を受ける必要があります。うつは重症化する前に専門的な治療をすれば、早期に完治しますし、治療をしながら仕事を続けることももちろん可能です。
「病院を行くほど重症じゃないし・・・」と受診をためらう人も多いと思いますが、うつは早めの治療が重要なのです。「もうダメ」と思ってから受診すると、治療が長引いてしまいます。早めに受診して、早めに治しましょう。
専門医を受診して「うつ病」と診断されたら、そのまま治療を始めれば良いですし、うつ病と診断されなくても、医師や臨床心理士など専門家のカウンセリングを受ければ、心も軽くなりますし、今感じているストレスを取り除く方法を第三者的視点で提案してもらえるかもしれません。
師長に相談する
うつの症状が出ていて、その原因が仕事にあるかもしれない時は、師長にうつであることを報告し、うつの原因をできるだけ取り除くようにしましょう。専門医の治療と平行して、うつの根本的な原因を解決することが、うつを早く治すためには大切です。
うつの症状が出るほどの仕事上のストレスには、人それぞれ様々なものがあると思いますが、夜勤がストレス、人間関係がストレス、忙しいことがストレスの3つが多いと思います。
夜勤をストレスに感じている時は、師長に夜勤メンバーからはずしてもらえるようにお願いしてください。今働いている病棟で日勤のみの変えてもらっても良いですし、外来へ異動させてもらっても良いでしょう。
人間関係がストレスになっている時は、職場の人間関係の状況を具体的に師長に話して、対処してもらうようにしましょう。働きやすい環境を整えることは師長の仕事ですので、遠慮する必要はありません。いじめを受けている場合も同様です。
忙しいことがストレスになっている場合は、少しゆとりのある部署への異動を交渉してください。
ゆっくり休む
うつはゆっくり休むことも大切な治療の1つです。有給休暇や休職制度を使って、疲れた心と体を休めるようにしましょう。仕事を忘れて、ストレスから解放されてゆっくり休むことができれば、うつも早期に回復するはずです。
うつになる人はまじめな人が多いので、「休むなんてとんでもない!」と「休む=悪いこと」と考えるかもしれませんが、うつを治すためには思い切って休むことが大切なのです。
医療機関を受診して、うつ病やそのほかの診断名がつけば、診断書をもらって、それを師長に提出して休職制度を利用したいと申し出てください。もし、診断書がなければ、有給休暇を使って休みたいと申し出ましょう。
もし、休ませてもらえない場合は、スッパリ退職して休むことも1つの手段です。うつを抱えながら我慢して仕事を続けていたら、うつはどんどん悪化していきます。
それなら今、思い切って退職して休んだほうが良いのではないでしょうか?仕事よりもあなたの健康のほうが大切ですから。
まとめ
看護師はストレスが多く、うつになりやすい仕事だからこそ、「うつかな?」と思ったら、早めに「うつかどうか」のチェックをして、必要なら専門医を受診したり、うつの予防法を実践したり、休養するなどの対策を取るようにしましょう。
休職や退職してうつをしっかり治してから復帰する時は、「またうつになるんじゃないか?」、「看護師としてちゃんと仕事できるのか?」と不安になると思います。
休職して復帰する人は、常勤ではなく非常勤でシフトに融通が利く働き方に変えることをオススメします。「大丈夫!」と自信がついたら、常勤になりましょう。
退職して休んだ人は、忙しいところを選ぶのではなく、最初はある程度ゆとりのある職場を選ぶようにしましょう。あまり最初から忙しいところでバリバリ働くのではなく、少しずつ慣らしていくことが大切です。
まじめな看護師さんほどうつになりやすいと言われています。患者さんのことだけではなく、自分の心と体もきちんと労わって、「うつかな?」と思ったら早めに対策を取るようにしましょう。
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コメント
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[…] がリセットされて、自律神経のバランスを整えることができるのです。 うつ病の予防法の詳細は、「私、うつ?」看護師さんなら先ずすべき1つの簡単チェック を参考にしてください。 […]