オペ室ナースを7つの視点から徹底解剖!求人の決め手は4つ

オペ室ナースの活躍する手術室の様子 看護師の仕事

[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).    more.. ]

あなたは「オペ室ナース(手術室看護師)」にどんなイメージを持っていますか?

興味もあるし、チャレンジもしてみたいけど、オペ室はちょっと特殊な部署というイメージがあるだけで、具体的なことはよくわからないという人も多いと思います。

オペ室ナースの仕事内容ややりがい、勤務体制、給料、メリットとデメリット、キャリアアップ方法、求人の7つのチェックポイントを知れば、オペ室ナースのすべてわかります!

オペ室ナースを目指したいあなたのために、オペ室ナースについて徹底解剖します!

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オペ室ナース(手術室看護師)の仕事内容

オペ室ナースの仕事は直接介助である「器械出し」と間接介助である「外回り」に分けられます。

器械出しはドクターや外回りのナースの目が届きやすいので新人や若手看護師が担当し、外回りは手術全体を観察し広い視野を持って動かなくてはいけないため、ベテラン看護師が担当することが多くなっています。

器械出し(直接介助)

オペ室ナースの仕事でまず最初に思い浮かぶものは、器械出し(直接介助)だと思います。

器械出しはメスやペアン、クーパーなどの手術に必要な器械類をドクターにタイミングよく安全に渡す仕事です。

器械出し担当のナースが、タイミングよく適切な器械をドクターに手渡していくことで、手術はスムーズに進みます。

手術がスムーズに進めば、手術時間が短くなり、患者さんの負担は少なくなります

手術時間が短くなるか長くなるかは、執刀するドクターだけでなく器械出しのナースのスキル次第と言っても過言ではありません。

器械出しの仕事は、手術前にその手術に必要な器械類がすべて揃っているかを確認し、滅菌手袋と滅菌ガウンを着用して、器械類のセッティングを行います。

そして手術中には術野を見ながら、適切なタイミングで適切な器具を安全に執刀医に手渡します。

この時、執刀医から「メス」などと要求される前に、自分で次にどんなサイズのどんな器具が必要かを予測しておかなくてはいけません。

手術後は、使用した器械のカウントや片づけをしてその手術での仕事は終了となります。

<器械出し看護師の1日の仕事の流れ(例)>

8:30 勤務開始 ・全体の申し送り
・担当する手術の注意点などを外回り看護師と確認する
8:45 手術前の準備 ・手術に必要な器械を開ける
・きちんと滅菌されているか、数はそろっているか等をチェックする
9:15 患者さんの入室 ・麻酔導入の準備
・器械類のセッティングをする
10:15 オペ開始 ・手術の進行にしたがって医師に器械類をタイミングよく渡す
・手術の進行具合を外回り看護師に報告する
・外回り看護師に足りない器械類を用意してもらう
・切除組織の処理や保管等を医師に確認する
・検体を外回り看護師に渡す
・器械やガーゼのカウントをする
13:00 オペ終了 ・手術後の片付けをする
・器械類のカウントをする
15:00 翌日の準備 ・翌日担当の手術に必要な器械類を準備する
・足りない器械類を組んで滅菌にかける
17:00 勤務終了

外回り(間接介助)

オペ室ナースのもう1つの仕事は外回り(間接介助)です。

外回りは薬剤や輸血の取り寄せや補充、出血量の測定、必要物品の補充など直接介助である器械出し以外のすべての仕事を行います。

また、術前訪問・術後訪問を行い、患者さんとコミュニケーションを取りながら、患者さんのオペへの不安を取り除くことも外回りの看護師の仕事です。

外回りの担当になるとオペ前日に術前訪問で患者さんから情報収集を行い、看護計画を立案します。

そして、オペ当日は必要な薬品や医療機器を準備し、病棟看護師からの申し送りを受け、患者さんの本人確認を行います。

手術中は出血量や尿量のカウントを行い水分出納を把握したり、点滴や薬剤の補充、記録、必要物品の補充、無影灯の調整、患者さんの体位調整、ガーゼや針などのカウントなどを仕事をします。

手術が終わったら、病棟やICUの看護師に申し送りをして、手術室の後片付けをします。

さらに、場合によっては術後訪問をして、オペ中の看護の評価や病棟看護師と情報共有を行います。

<外回り看護師の1日の仕事の流れ(例)>

8:30 勤務開始 ・全体の申し送り
・担当する手術の注意点などを器械出しの看護師と確認する
8:45 手術前の準備 ・ベッドの準備
・手術で使う輸液や薬剤の準備
9:15 患者さんの入室 ・病棟看護師から申し送りを受ける
・患者さんにモニター類を装着し、麻酔医の介助をして麻酔導入をする
・患者さんの体位を調整する
・必要に応じて剃毛や導尿の処置をする
10:15 オペ開始 ・医師や器械出し看護師が動きやすいように器械類を配置する
・無影灯の調整をする
・手術中も患者さんが安楽を保てるように体位を調整する
・手術状況を把握し、必要な器械類や薬剤を補充する
・出血量や尿量から水分出納を把握する
・ガーゼや器械類をカウントする
・器械出し看護師から検体を受け取ったら保管する(もしくは病理へ連絡し、検体をすぐに持って行けるようにする)
・執刀医、助手、麻酔科医、臨床工学技士と連携を取り、必要な支援を行う
・術中の看護記録を記入する
13:00 オペ終了 ・抜管の介助をする
・ガーゼや器械類のカウントをする
・リカバリー室へ患者さんを運び、観察を行う
14:00 退室 ・病棟看護師やICU看護師へ申し送りをする
16:00 術前訪問 ・翌日担当する患者さんの術前訪問を行う
17:00 勤務終了

オペ室ナース(手術室看護師)のやりがい

オペ室ナースは、手術を安全に終了させることができた時や、手術中の患者さんの負担を軽減できた時にやりがいを感じます。

国際医療福祉大学、大学院の江口由美子と湯沢八江による「手術室看護師の業務に対する意識の一考察」(PDFファイルです)から、オペ室ナースの仕事の中、オペ室ナースが特にやりがいを感じている仕事を見てみましょう。

・意識のある患者に言葉がけ・タッチングなどで不安軽減の援助を行う
・術中、意識のある患者に安楽な体位を提供する
・患者の体位固定をする場合、皮膚の損傷がないように注意を払う
・術中、器械・器材を安全に医師に手渡す
・術式に関した解剖生理・必要な器械・器材などについて覚える

これらがオペ室ナースがやりがいを感じる仕事です。

患者さんの精神的なケアや褥創予防をすることで、患者さんの負担を軽減することができます。これは外回り担当の看護師の役割です。

また、解剖生理や器械・器材を覚えて、安全に医師に手渡すことで、手術を安全にスピーディーに進めることができます。

器械出し担当の看護師は、このような点にやりがいを感じているのです。

オペ室ナース(手術室看護師)の勤務体制

オペ室ナースの勤務体制には4種類あります。

オペ室ナースの勤務体制は日勤のみ、オンコール体制、当直体制、夜勤ありと4種類に分けることができます。

オンコール体制と当直体制は病棟にはないオペ室特有の勤務体制になります。

それぞれの勤務体制の特徴やメリットなどを知っておくと、オペ室求人を選ぶ時に役立ちます。

日勤のみ

手術は平日の日勤帯のみで、予定された手術しか行わないという病院のオペ室ナースは、平日の日勤のみの勤務になります。

オペの終了時間が延びて残業することはありますが、基本的には定時で帰ることができますし、土日祝日は休日で規則正しい生活を送ることができるメリットがあります。

オンコール体制

救急病院など夜間に緊急オペをすることがあるけれど、件数はそれほど多くない病院はオンコール体制を取っています。

オンコール体制とは、夜間や週末などに緊急オペが入った時にすぐに対応できるように自宅で待機している勤務体制のことです。

緊急オペが入り、病院から連絡があったら、すぐに病院に駆けつけて仕事をしなければいけません。

当直体制

比較的大きな救急病院だと、オペ室ナースは当直の勤務体制を取っているところもあります。

当直はオンコール体制とは違い、病院内で待機しています。ただ、夜勤ではないので緊急オペがない時は、電話番をする程度で基本的に休んでいられます。

でも、当直中の時間は労働基準法の週40時間勤務にはカウントされませんので、夜勤のように翌朝は帰宅できずに、そのまま日勤に入って働かなくてはいけません。

夜勤あり

3次救急病院など大規模病院で、夜間でも緊急オペをする可能性が高い病院は、オペ室ナースでも夜勤に入ることがあります。

オペがない時は、翌日のオペの準備や物品補充などオペ室の仕事をすることもありますし、救急外来など他の部署の応援に行くことあり、オペがない時の夜勤の仕事内容は病院によって違います。

オペ室ナース(手術室看護師)の給料

オペ室ナースの給料は、日勤のみの勤務だと平均年収440万円、当直や夜勤ありだと480万円前後となります。

オペ室ナースは日勤のみの勤務なら、日勤のみの病棟や外来よりも高収入になります。それは、危険手当や手術室手当と呼ばれる特殊な手当がつくからです。

でも、夜勤ありになると、オペ室勤務は夜勤回数が少ないので、夜勤ありの病棟と同じ程度になってしまいます。

オンコール手当や当直手当についてですが、どちらも病院によってばらつきがあるものの、オンコール手当は1回2,000~5,000円程度、当直手当は1回5,000~7,000円が相場になっています。

オンコールも当直も緊急オペが入って仕事をすれば、その分は時間外勤務として手当がつきます。

忙しいオペ室に勤務すると、オンコールや当直のたびに緊急オペが入りますので、夜勤ありと同じくらいの給料、もしくはそれ以上の給料を稼ぐ場合もあるのです。

オペ室ナース(手術室看護師)のメリットとデメリット

オペ室ナースのメリットとデメリットを知っておくと、自分がオペ室ナースに向いているかどうかを判断することができますし、実際にオペ室ナースになってから「思っていたのと違うなぁ」という後悔を避けることができるのです。

オペ室ナースのメリット

オペ室ナースのメリットは、次の4つがあります。

(1)専門性を身につけることができる
(2)チーム医療を実践できる
(3)ライフスタイルに合わせた働き方を選べる
(4)コミュニケーションが得意でなくてもOK

これらのメリットがあるため、オペ室ナースになると専門性を高めることができるだけでなく、ライフスタイルに合わせた働き方、プライベートを重視した働き方ができるのです。

専門性を身につけることができる

オペ室ナースのメリットの1つ目は、専門性を身につけられることです

オペ室ナースの仕事は特殊ですので、他の診療科の看護師にはできないスキルを身につけられます

また、解剖を実際に目で見ることができますので、解剖生理にも詳しくなることができます

オペ室勤務で得たスキルは、そのままオペ室ナースとしてさらにスキルを磨き専門性を高め、オペ室ナースのスペシャリストとなることもできますし、将来病棟などほかの部署で働いても役立ちます。

病棟では処置の時にテキパキと医師の介助ができますし、器械類について詳しい人がいないので、オペ室経験がある看護師は頼りされるのです。

また、解剖に詳しくなると、どの診療科に行っても病態生理を正しく理解することができますので、より良い看護を提供できるでしょう。

チーム医療を実践できる

オペ室ナースになるとチーム医療を実践できます。しかも、オペ室ナースは手術でのチーム医療の要(かなめ)の役割を果たすのです。

手術は執刀医(1人)と助手の医師(介助医:1~2人)、器械出し看護師(1人)、外回り看護師(1~2人)、麻酔科医(1人)、臨床工学技士(1人)で行います。

1人の患者さんに対してこれだけのスタッフが働いています。そして、これらのスタッフは互いに協力し連携を取って動き、オペ室ナースはそのチーム医療の一員になります。

そして、オペ室ナースは手術全体を把握して、それぞれのスタッフが連携を取りやすいように支援していきますので、チーム医療の調整役であり、手術が円滑に進むための要の役割を果たしていると言えます。

ライフスタイルに合わせた働き方を選べる

オペ室ナースはライフスタイルに合わせた働き方を選べます。

プライベートを重視したり、育児と仕事を両立させることも可能ですし、夜勤に入ってバリバリ働くことも可能なのです。

先ほども説明しましたが、オペ室は「日勤のみ」、「オンコール体制」、「当直体制」、「夜勤あり」の4つの勤務体制があります。

そのため、育児中のママさん看護師は日勤のみのオペ室で働くと、育児と仕事を両立させることができます。

スキルアップしたいし、ガッチリ稼ぎたいという人は夜勤ありのオペ室で働くと良いでしょう。

特に、平日の日勤のみの看護師の職場は少ないので、仕事も専門性の高いものをしっかりやりたい、でも夜勤は無理だし土日祝日は休みたいという看護師さんにとって、オペ室は最適な職場と言えるでしょう。

コミュニケーションが得意でなくてもOK

オペ室ナースは、それほどコミュニケーションが得意でない看護師さんでも大丈夫というメリットがあります。

患者さんと話すのがあまり得意ではない看護師は、病棟や外来、クリニックなどで働くと、どうしてもストレスが溜まるものです。

でも、オペ室は手術中の患者さんは全身麻酔の場合は意識がありませんし、部分麻酔の場合でもオペ中は活発に会話をするわけではありませんので、コミュニケーションが得意ではない看護師さんでも、ストレスなく働くことができるのです

ただ、オペ室ナースは全く患者さんと話さなくて良いというわけではなく、術前・術後訪問では患者さんとコミュニケーションを取りますし、全身麻酔の患者さんも麻酔導入前は会話しなければいけませんので、その点は注意してください。

このメリットは、患者さんと話すのが好き、コミュニケーションが得意という看護師さんにとっては、デメリットになり得るものです。

患者さんと話すのが好きな看護師さんは、術前・術後訪問でどんどんコミュニケーションを取ったり、麻酔導入前や部分麻酔の患者さんと積極的に会話をして、コミュニケーションが得意というあなたの長所をオペ看護に活かすと良いでしょう。

オペ室ナースのデメリット

オペ室ナースのデメリットは、次の5つがあります。

1.精神的なプレッシャーがある
2.オンコール制が大変
3.覚えなくてはいけないことがたくさん
4.立ちっぱなしで辛い
5.患者さんと接する時間が短い

ただ、これらのデメリットの中には、考え方によっては「責任ある仕事を任されている」や「スキルアップできる」などのメリットに変えられるものもあるのです。

精神的なプレッシャーがやストレスある

オペ室ナースのデメリットは、精神的なプレッシャーがあることです。

手術は患者さんの命を左右するものですし、医療事故を起こしやすいのでミスは許されませんので、オペ室ナースは常に緊張感を持って働かなくてはいけません。

また、難しいオペになると、執刀医がイライラしてナースに八つ当たりすることもありますので、オペ室ナースは精神的なプレッシャーやストレスを感じることが多いのです。

オンコール体制が大変

オンコール体制を取っている手術室は多いですが、オンコール体制はオペ室ナースに負担をかける勤務体制で、割に合わないと感じているオペ室ナースは多いのです。

オンコール当番の日は、自宅で待機することになりますが、呼び出されたらすぐに出勤できるようにしておかなくてはいけません。

そのため、夜でもお酒を飲むことはできませんし、週末の休みにも遠出できず自宅周辺にいる必要があります。

このような行動制限があるのに、オンコール手当は5,000円以下のことが多く、安い病院では1,000円のところもあります。

しかも、忙しいオペ室の場合、オンコール当番のたびに呼び出されて働かなくてはいけないので、休んだ気がせずにいつもクタクタということも珍しくありません。

覚えなくてはいけないことがたくさん

オペ室ナースになると、覚えなくてはいけないことがたくさんあります

オペで使う器械類はたくさんの種類がありますので、それの名前と用途を覚える必要があります。また、器械出しをするためには解剖生理も覚えなくてはいけません。

あなたは、コッヘル、ペアン、モスキートペアンの違いが分かりますか?メッツェン、クーパー、メイヨーの違いが分かりますか?また、それぞれどんな時にどのように使うのか理解していますか?

病棟で働いていると名前くらいは聞いたことがあっても、それぞれの違いがよくわからないという看護師さんが多いと思いますが、オペ室ナースになると、これらの器械の違いを正確に覚えなくてはいけません

また、診療科によって使う器械が違いますし、整形外科は器械というより工具のような物を使うこともあります。

そのため、診療科や手術の違いで使用する器械が変わりますので、そのようなことも覚えなくてはいけないのです。

立ちっぱなしで辛い

オペ室ナースは立ちっぱなしの仕事です。長時間のオペになると6時間以上も立ち続けなければいけませんので、オペ室ナースは体力が必要です。

特に、器械出し看護師は動くこともできずに、その場で立ったまま医師に器械を渡していきます。器械出しの看護師が歩き回ったり、退室したりすると手術は中断してしまいますから。

そのため、オペ室ナースは脚がむくむし、喉は乾くし、トイレにも行けないし、と立ちっぱなしで辛いことがたくさんあるのです。

患者さんと接する時間が短い

オペ室ナースは患者さんと接する時間が短く、手術後の経過や退院する姿を見ることができません。

オペ室ナースは基本的にオペ室内でしか患者さんと接しません。しかも、患者さんはオペ室に入ったら麻酔をかけますので、コミュニケーションが取れる時間は非常に短いのです。

これは、コミュニケーションが苦手な看護師さんにとってはメリットになりますが、物足りなさを感じる看護師さんも多いでしょう。

そして、オペ室ナースは患者さんをICUや病棟に送り出したら、その後の経過はほぼ見ることができません。術後訪問がある場合は患者さんと会話できますが、それも短時間だけです。

そのため、オペを終わった患者さんがどのように回復して退院していくかという過程を見ることはできず、退院していく姿を見送ることもできないのです。

オペ室ナース(手術室看護師)のキャリアアップ方法

オペ室ナースのキャリアアップ方法としては、手術看護認定看護師や手術看護実践指導看護師、周術期管理チーム看護師があります。

オペ室ナースのキャリアアップ方法としては、手術看護認定看護師や手術看護実践指導看護師、周術期管理チーム看護師、滅菌技師があります。

また、キャリアアップとは少し違いますが、オペ室ナースの経験を他部署で活かすという選択肢もあります。

あなたの経験や興味、看護師としての将来の方向性に応じて、キャリアアップ方法を選ぶと良いでしょう。

手術看護認定看護師

オペ室ナースのキャリアアップ方法の1つ目は、手術看護認定看護師です。

これは、日本看護協会が認定している資格で、2015年6月時点で全国で314人の手術看護認定看護師が活躍しています。

手術看護認定看護師は、オペ室ナースのキャリアアップの中でも最もレベルが高く、資格取得が難しいですが、それだけ専門性が高く熟練した知識・技術を持ち、それを活かせるキャリアアップ方法です。

手術看護認定看護師になるためには、まず「看護師経験が通算5年以上(うち3年以上が手術看護の分野で)あること」、「手術看護における器械出し看護師・外回り看護師の実績があること」、「現在手術看護部門で勤務していることが望ましい」という3つの条件をクリアする必要があります。

さらに、6ヶ月以上615時間以上の研修を受けなければいけません。

この研修は連続した昼間の研修であることが原則ですので、通常の勤務をしながら、認定看護師の研修を受けることは不可能になります。

そのため、休職や出張扱い、もしくは退職して研修を受けることになります。

研修修了後は認定審査に合格して、晴れて認定看護師になることができます。

認定看護師の資格は5年ごとに更新する必要があります。

手術看護実践指導看護師

オペ室ナースのキャリアアップ方法の2つ目は、手術看護実践指導看護師です。

これは、日本手術看護学会が2014年に認定を開始した資格で、手術看護の質の保証と現場で働く看護師の意欲向上を目的としています。

手術看護実践指導看護師は、通常の勤務をしながら資格を取得できるため、手術看護認定看護師に比べて、資格取得のハードルが低く、門戸が広く開かれている資格と言えるでしょう。

手術看護実践指導看護師になるためには、

・看護師免許がある
・日本手術看護学会正会員が通算3年以上ある
・手術室経験が通算5年以上ある
・受験資格ポイントを50点以上取得している(学会や研修会の参加等)
・手術看護実践事例を2例提出する
・クリニカルラダーレベルⅢ認定証明書を提出する

これらの条件を満たして、申請料30,000円を納付し、審査に合格する必要があります。

手術看護実践指導看護師も5年ごとに更新が必要です。

周術期管理チーム看護師

オペ室ナースのキャリアアップ方法3つ目は、周術期管理チーム看護師です。

周術期管理チーム看護師は、日本麻酔科学会が認定する資格で、麻酔科医の業務全般に関する基礎的な知識を持ち、術前・術中・術後の麻酔科診療の補助を行うと共に、モニタリングを含めた医療機器や使用薬剤の準備など麻酔科関連業務を麻酔科医と共同して行う看護師としています。

手術看護の中でも、特に麻酔看護に興味がある人は、この周術期管理チーム看護師の資格を取得すると良いでしょう。

周術期管理チーム看護師になるためには、手術室勤務が2年以上あり、3年以内に日本麻酔科学会の周術期セミナーに1回以上参加していること、また3年以内に日本手術看護学会の年次大会か麻酔看護研修に1回以上参加している必要があります。

この条件をクリアし、筆記試験に合格すれば、周術期管理チーム看護師の資格を取得できます。

周術期管理チーム看護師の有効期間は3年ですので、3年ごとに更新が必要です。

滅菌技師(士)

オペ室ナースは、滅菌技師の資格を取得するのも良いでしょう

滅菌技師とは、「医療施設等で手術用の器械類などの医療器具を、正しい知識と適切な技術を持って滅菌することができると日本医療機器学会に認められた者」のことです。

器械類の滅菌は全て中央材料室で専門のスタッフが行う病院もありますが、オペ室ナースが行う病院もあります。

オペ室ナースが滅菌を行う病院で、この滅菌技師の資格を持っていれば、正しく確実に滅菌できることで安全な器械類で患者さんのオペを行うことができます。

この滅菌技師の資格は日本医療機器学会が認定していて、第1種滅菌技師と第2種滅菌技士の2つがあります。

滅菌技士/技師の呼称は第1種と第2種で使い分けておりますので、資格によって漢字表記にお間違えないようお願いいたします。 一般社団法人日本医療機器学会

2種滅菌技士になるには、次の3つの条件を満たしている必要があります。

(1)日本医療機器学会の会員であること

(2)滅菌供給業務の実践に3年以上携わっていること

(3)日本医療機器学会が作成した“医療現場における滅菌保障のガイドライン”の内容が理解実行できること

この条件を満たし、必要書類を用意して申請すれば、第2種滅菌技士の資格を取得することができます。

1種滅菌技師になるには第2種滅菌技士の資格を取得してから、第1種滅菌技師認定学科講習を修了し(筆記試験あり)、さらに第1種滅菌技師認定実技講習を修了する必要があります。

2種滅菌技士は4年毎に更新する必要がありますが、第1種滅菌技師の資格は第2種滅菌技士の資格を更新していれば、更新の必要はありません。

まずはオペ室で3年間働いて、第2種滅菌技士の資格を目指してはいかがでしょうか?

他部署でオペ室ナースの経験を活かす

キャリアアップとは少し異なりますが、オペ室以外の部署でオペ室ナースの経験を活かすという方法もオペ室ナースのキャリア選択肢の1つです。

オペ室ナースは潰しが効かないと思われがちですが、オペ室ナースは解剖生理に詳しくなりますし、一般の看護師はあまり詳しくない器械類の知識が豊富ですので、ほかの部署でもその経験を活かすことができるのです。

オペ室ナースの経験は、どこの部署でも活かすことができますが、特に救命救急センターや救急外来、ICU、外科病棟などは特にオペ室ナースのスキルが重宝されるでしょう。

オペ室ナース(手術室看護師)の求人チェックポイント

オペ室ナースの求人を選ぶ時は、「勤務体制」、「診療科と手術件数」、「術前・術後訪問の有無」、「教育体制」の4つのチェックポイントを必ず確認しましょう

オペ室ナースの求人を選ぶ時は、「勤務体制」、「診療科と手術件数」、「術前・術後訪問の有無」、「教育体制」の4つのチェックポイントを必ず確認しましょう。

この4つをチェックすれば、あなたの希望に合ったオペ室ナースの求人を簡単に見つけることができるのです。

勤務体制

オペ室ナースの求人を選ぶ上で、最も重要視したいのは勤務体制です。

オペ室ナースは日勤のみ、オンコール体制、当直体制、夜勤ありと4種類の勤務体制があります。

日勤のみの勤務は規則正しい生活が送れること、カレンダー通りの休みが取れることというメリットがあり、オンコールや当直体制は運が良ければ実働しなくても手当がつくこと、夜勤ありは給料が高いことがメリットになります。

デメリットは日勤のみは給料が安いこと、オンコールはあまり休んだ気にならないこと、当直はそのまま日勤に入ること、夜勤は疲労度が高いことです。

それぞれのメリットやデメリットを考慮して、あなたの希望に合った勤務体制の求人を選ぶようにしましょう。

診療科と手術件数

どの診療科の手術を行っているのか」と「年間の手術件数」はオペ室ナースの求人を選ぶ上で大切なことです。

1つの診療科の手術スキルを極めるか、あらゆる診療科に対応できるようになるかは、あなたの価値観次第ですが、自分の希望に合うほうを選ばなければいけません。

また、手術件数は多ければ忙しいですが早くスキルアップをすることができます。

一方、件数が少なければゆとりを持って働けますが、スキルアップするには時間がかかるでしょう。

手術件数が少ない個人病院などは、オペ室ナースは手術がない時は外来を兼任することもありますので注意しましょう。

術前・術後訪問の有無

術前・術後訪問の有無も必ずチェックしましょう。オペ室ナースが不満に思うことの1つに、患者さんとコミュニケーションが取れないことがあります。

術前・術後訪問をしっかり行っている病院を選べば、オペ室ナースでも患者さんとコミュニケーションを取ることができます

オペ前日にしっかりコミュニケーションを取って情報収集することは、スムーズで安全なオペにつながります。

また、手術への不安を取り除くという精神的なケアをすることができるのです。

術前・術後訪問をしてオペ室以外で患者さんとコミュニケーションを取る機会があることで、将来オペ室以外で働きたいと思った時に、病棟や外来などの仕事に早く慣れる事ができるというメリットもあります。

教育体制

オペ室ナースの求人を選ぶ時には、教育制度にもこだわりましょう。

オペ室ナースは病棟や外来と比べると特殊な知識やスキルが必要ですので、どんなにベテランの看護師さんでも1から学ばなければいけないことがたくさんあります。

新卒の看護師やオペ室未経験の看護師は、特にこの教育制度にこだわらなければいけません。

中途採用者にもプリセプターをつけてくれるかどうか、クリニカルラダーのようにレベル別の研修があるかどうか、などをチェックしましょう。

まとめ

オペ室ナースを目指すなら知っておきたいこと7つを紹介してきましたが、この7つの項目を読むと、オペ室は病棟や外来とは違い特別な部署で、オペ室独特の知識やスキルが必要であることがわかると思います。

でも、オペ室ナースでも、術前・術後訪問や麻酔導入前に、そして部分麻酔の患者さんはオペ中でも、コミュニケーションを取ることができますし、患者さんの安全・安楽のための看護や精神的ケアが重要な仕事ですので、一般的な看護師の仕事と根本的には同じ部分も多いんです。

ですから、オペ室ナースになるともう病棟や外来に戻れないかもという不安を持つ必要はありません。

むしろ、オペ室ナースの知識やスキルを得ることができますので、病棟や外来に戻ったら、オペ室ナースの経験を活かして、さらにパワーアップした看護師になることができるんです。

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