需要急増中!訪問看護ステーションの定義や診療報酬、実態を徹底解説!

需要急増中!訪問看護ステーションの定義や診療報酬、実態を徹底解説! 看護師の仕事

[著者: 平野雅子 (看護師 /保健師).    more.. ]

ここ数年で、訪問看護ステーションの注目度が急上昇しています。

これは、近年、価値観の多様化で病院ではなく自宅で療養をしたいという人が増加していることに加えて、医療費削減のための国の政策もあり、訪問看護の需要が高まっているからです。

訪問看護の仕事に興味はあるけれど、訪問看護ステーションがいまいち具体的に良くわからないからという理由で、なかなか転職に踏み切れない人は少なくないと思います。

また、もっと訪問看護のことや訪問看護ステーションで働く実情を知りたいという人もいるのではないでしょうか。

訪問看護ステーションは自宅療養をする患者に看護サービスを提供する事業所のことで、幅広いサービスを提供しています。

訪問看護ステーションで働くなら知っておくべき診療報酬や、訪問看護ステーション勤務の実情などをまとめています。

病院など今の職場で看護師としての行き詰まりを感じている人、家庭と仕事の両立の難しさに悩んでいる人は、訪問看護ステーションへの転職を考えると、悩みが解決するかもしれませんよ。

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訪問看護ステーションの定義

訪問看護ステーションの定義

訪問看護ステーションは、患者の自宅療養を支援するために、看護サービスを提供する事業所です。

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」という法律で、看護職員は常勤換算で2.5人、管理者を1名置くなどの基準が決められています。

訪問看護ステーションとは

訪問看護ステーションとは

訪問看護ステーションとは、患者が住み慣れた自宅で、その人らしく日常生活を営むことができるように、療養生活を支援し、心身機能の維持回復を目指すためのケアを提供する事業所のことです。

訪問看護ステーションは、自宅療養をする患者とその家族の療養生活を支え、支援するための事業所なのです。

訪問看護ステーションの法律上の基準

訪問看護ステーションの法律上の基準

訪問看護ステーションの基準は、「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」という法律で決められています。

基準 説明
人員基準
  1. 常勤換算の看護職員数は2.5人
  2. 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、実情に応じた適当数
  3. 看護職員のうち1名は常勤でなければいけない
  4. 常勤の管理者を置かなくてはいけない
  5. 常勤管理者は看護職員でなければいけない
  6. 常勤管理者は訪問看護の知識・技能を有していないといけない
設備基準
  1. 事業運営を行うための必要な広さの事務室を設ける
  2. 訪問看護に必要な設備や備品を備える

訪問看護ステーションの人員と設備は、このように決められています。

看護職員とは、「保健師、助産師、看護師又は准看護師」のことです。
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成十二年三月三十一日厚生省令第八十号)

人員基準の「常勤換算で2.5人」というのが、ちょっと分かりにくいかもしれません。

常勤の看護職員の労働時間を1日8時間で週40時間勤務とした場合、常勤換算で2.5人だと、その訪問看護ステーションでの勤務時間数は、40時間×2.5=100時間となります。

「1週間の中で看護職員が100時間を勤務していればOK」ということなので、常勤の看護職員が2人と、週20時間労働のパートの看護職員が1人いると、常勤換算で2.5人ということになります。

「常勤看護職員は1名いればOK」なので、常勤の看護職員1名と、週20時間労働のパートの看護職員が3名でも、常勤換算で2.5人の労働時間はクリアしているので人員基準は満たしていることになります。
※ 常勤1人40時間+パート3人60時間(20時間x3人)

設備基準は特に明確な基準があるわけではありませんので、必要最低限の広さの事務所と、訪問看護サービスを提供するための設備や備品がそろっていれば問題はありません。

訪問看護ステーションで提供するサービス

訪問看護ステーションで提供するサービス

訪問看護ステーションで提供するサービスは、多岐にわたっています。

  1. 健康状態の観察
  2. 医療処置や医療機器の管理
  3. 療養上の世話
  4. ターミナル期の看護
  5. リハビリの支援
  6. 認知症や精神疾患の看護
  7. 家族支援
  8. 療養生活の指導や助言

また、リハビリを重点的に行うために、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士も訪問看護ステーションで働いています。

訪問看護での看護師の仕事内容

訪問看護ステーションでの看護師の仕事内容は、次の8つがあります。

  1. 健康状態の観察
  2. 医療処置や医療機器の管理
  3. 療養上の世話
  4. ターミナル期の看護
  5. リハビリの支援
  6. 認知症や精神疾患の看護
  7. 家族支援
  8. 療養生活の指導や助言

訪問看護師の仕事内容はとても幅広いのです。

仕事内容 仕事内容の詳細
健康状態の観察
  • バイタルサインのチェック
  • 全身状態の観察とアセスメント
医療処置や医療機器の管理
  • 呼吸器管理
  • 気切部の消毒やガーゼ交換
  • 酸素管理
  • 痰の吸引と吸引指導
  • ドレーンやカテーテル類の管理
  • 点滴、CVポートの管理、採血、注射、血糖値の測定、インシュリン注射
  • ストーマや膀胱瘻の管理、導尿、バルーンカテーテルの交換、浣腸、摘便
  • 腹膜透析の管理
  • 褥瘡や皮膚創部の処置
療養上の世話
  • 口腔ケア
  • 清拭やシャワー浴の介助
  • 洗髪
  • 食事介助、栄養指導
  • 排せつ介助
  • 整容
  • 散歩や買い物への付き添い
  • 雑談などの話し相手
ターミナル期の看護
  • 疼痛緩和
  • 精神的なケア
  • 家族ケア
  • 家族への連絡手段や連絡するタイミングの指導
  • 看取り
リハビリ支援
  • 拘縮予防のためのROM運動
  • 筋力維持のための運動介助
  • ADLの維持・拡大のための援助
  • 転倒転落予防のための援助
認知症や精神疾患の看護
  • 内服薬の管理
  • 家族への対応方法の指導や助言
  • 認知症や精神疾患の正しい知識の指導
家族支援
  • 家族の疲労度の観察と助言
  • 家族の不安や悩みの傾聴
療養生活の指導や助言
  • 療養生活に応じた住環境の整備の指導
  • 使用できる社会資源の紹介
  • 福祉用具や介護用具の提案
  • 自治宅の相談窓口の紹介
  • 医療機関や介護施設との連携

 

訪問看護ステーションで働く職種

訪問看護ステーションで働く職種

訪問看護ステーションでは、看護職員以外に、リハビリ職も働いています。訪問看護は看護職だけではないのです。

訪問看護ステーションで働く職種

 

  • 看護師
  • 准看護師
  • 保健師
  • 助産師
  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)

訪問看護ステーションは、居宅介護や訪問介護の事業所を併設しているところも多いので、そのような訪問看護ステーションでは、ケアマネージャーや介護福祉士、ホームヘルパーも働いています。

訪問看護ステーションの看護師なら知っておくべき診療報酬

訪問看護ステーションの看護師なら知っておくべき診療報酬

訪問看護ステーションの診療報酬は、「医療保険」と「介護保険」の2種類の診療報酬があります。

また、移動の効率や看護師か准看護師かによっても、診療報酬は異なります。

機能強化型訪問看護ステーションの算定要件を満たしていると、診療報酬が手厚く保護されることも、訪問看護ステーションの診療報酬の特徴です。

診療報酬は医療保険か介護保険か

診療報酬は医療保険か介護保険か

出典:厚生労働省「訪問看護について」<4ページ図>(PDF)

訪問看護の診療報酬は、医療保険からの診療報酬と、介護保険からの診療報酬の2種類があります。患者の年齢や要介護の有無などで細かく規定されています。

40歳未満

全員医療保険

40歳~65歳未満

40歳~65歳未満は、介護保険の2号被保険者であり、特定疾患の人は介護保険を申請することができますので、介護保険を使った訪問看護が利用可能です。

保険の種類 条件
介護保険 介護認定あり
医療保険
  • 介護認定なし
  • 介護認定はあるが、厚生労働大臣が定める疾患や精神科訪問看護指示書、特別訪問看護指示書がある場合

65歳以上

保険の種類 条件
介護保険 介護認定あり
医療保険
  • 介護認定なし
  • 介護認定はあるが、厚生労働大臣が定める疾患や精神科訪問看護指示書、特別訪問看護指示書がある場合

医療保険での訪問看護は原則週3回まで、介護保険は介護保険の支給限度額に応じた回数となります。

ただし、厚生労働大臣が定める疾患や、特別訪問看護指示書がある場合は、週4回以上の訪問が可能となっています。

医療保険が優先される場合は?

医療保険が優先される場合

介護認定を受けている人は、基本的に介護保険を使っての訪問になりますが、医療保険が優先される場合があります。

それは、「厚生労働大臣が定める疾患の場合」、「精神訪問看護指示書」や「特別訪問看護指示書」がある場合の3つのケースです。

厚生労働大臣が定める疾患

  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 進行性筋ジストロフィー症
  3. 亜急性硬化症全脳炎
  4. 後天性免疫不全症候群
  5. 頚髄損傷
  6. 人工呼吸器を使用している状態
  7. 多発性硬化症
  8. スモン
  9. 筋萎縮性側索硬化症
  10. 脊髄小脳変性症
  11. ハンチントン病
  12. プリオン病
  13. 多系統萎縮症
  14. 進行性核上性麻痺
  15. 大脳皮質基底核変性症
  16. パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度)
  17. ライゾーム病
  18. 副腎白質ジストロフィー
  19. 脊髄性筋萎縮症
  20. 球脊髄性筋萎縮症
  21. 慢性炎症脱髄性多発神経炎

精神科訪問看護指示書

精神科専門医が「訪問看護が必要である」と判断した場合の指示書があり、一定条件を満たした看護師が厚生労働省への届け出がされている場合、精神科訪問看護療養費として、医療保険を使うことになります。

特別訪問看護指示書

退院直後や病状が突然悪化した場合など、主治医が「頻回な訪問看護が必要である」と判断した場合に出される指示書が、特別訪問看護指示書で、これがあると要介護認定を受けている場合でも、医療保険が優先になります。

診療報酬の移動効率による違い

診療報酬の移動効率による違い

訪問看護ステーションの診療報酬は、移動の効率によっても変わってきます。

次の3つのいずれかの条件を満たす場合、本来の診療報酬の90%しかもらえないことになります。

  1. 訪問看護ステーションの事務所と同じ敷地内、もしくは隣接する敷地に所在する建物に居住する者
  2. 訪問看護ステーションと同一建物に居住する者
  3. 同一の建物に居住する利用者の人数が20人以上である場合

1.の建物は養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に限ります。

この3つのうち、いずれかの条件を満たす場合は、訪問看護ステーションは診療報酬の90%しかもらえません。

しかし、距離がある患者の自宅を1件1件回ると、移動時間がかかりますし、移動費もかさみます。

それを考えると、診療報酬は90%しかもらえなくても、有料老人ホームなど同一建物内にたくさんの患者を抱えていたほうが、訪問看護ステーションとしては、効率よく報酬を得られます

また、有料老人ホームなどの施設は、その施設の介護士などもいますので、患者宅に1人で訪問しなければいけないという看護師側の不安も少ないというメリットもあります。

准看護師と診療報酬の関係

訪問看護の准看護師の求人が少ない

准看護師は訪問看護ステーションで看護職員として働くことができますが、准看護師の場合は、診療報酬の90%しかもらえないことになります。

訪問看護の診療報酬は1件につき9,000円程度のことが多いですが、常勤の看護師が1日5件を回ったとすると、1日4万5,000円、月20日間勤務で90万円になります。

准看護師だと同じ内容の仕事をしても、訪問看護ステーションがもらえる診療報酬は81万円になります。

訪問看護ステーションの求人を見ていて、看護師求人はたくさんあるのに、准看護師の求人は少ないと思ったことがありませんか。

訪問看護の准看護師の求人が少ないのは、このような診療報酬の違いがあるためなのです。

機能強化型訪問看護ステーションとは

機能強化型訪問看護ステーションとは

訪問看護ステーションの中には、「機能強化型訪問看護ステーション」というタイプがあります。

機能強化型訪問看護ステーションは、診療報酬上有利になっていて、訪問看護ステーションとして報酬が多くなるようになっています。

機能強化型訪問看護ステーションには2種類あります。

算定要件
機能強化型訪問看護管理療養費1
  1. 常勤看護職員7人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24時間対応加算の届け出を行っていること
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費またはターミナル加算の算定件数が年に合計20件以上
  4. 特掲診療科の施設基準等の別表第7に該当する利用者が月に10人以上
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護 支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい
機能強化型訪問看護管理療養費2
  1. 常勤看護職員5人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24時間対応加算の届け出を行っていること
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費またはターミナル加算の算定件数が年に合計15件以上
  4. 特掲診療科の施設基準等の別表第7に該当する利用者が月に7人以上
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい

「特掲診療科の施設基準等の別表第7に該当する利用者」とは、次の19のいずれかの疾患の患者を指します。

  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症
  6. 脊髄小脳変性症
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病 ※ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る)
  10. 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化症全脳炎
  13. ライソゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋萎縮症
  16. 球脊髄性筋萎縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 頚髄損傷または人工呼吸器を使用している状態及び急性増悪期の場合

「機能強化型訪問看護管理療養費1」の算定要件を満たしていると、月の初日訪問時には12,400を加算することができ、「機能強化型訪問看護管理療養費2」の場合は9,400を加算することができます。

通常型の場合は7,400の加算になります。

機能強化型訪問看護ステーションは、重症度が高い患者やターミナル期の患者が多く、オンコール体制を取るなど24時間体制で対応しなければいけませんが、その分、診療報酬が多くなっています。

団塊の世代が75歳を迎える2025年には、現在よりも在宅医療・訪問看護の需要が大きくなることが予想されます。

機能強化型訪問看護ステーションは、2025年に向けて、重症患者の在宅療養を支援し、さらに地域のほかの訪問看護ステーションや、その他の在宅療養を支援する職種・事業所との連携をコーディネートするなどの役割が期待されています。

訪問看護ステーションの実態

訪問看護ステーションの実態

訪問看護ステーションの実態を「設置主体」と「勤務体系」、「残業時間」、「給料」の4つの側面から徹底分析していきます。

分析のためのデータは、日本看護協会の「2014年 訪問看護実態調査報告書(PDF)」や厚生労働省の「平成26年介護サービス施設・事業所調査の概況」を用います。

訪問看護ステーションの設置主体

訪問看護ステーションの設置主体

設置主体 割合(%)
営利法人(会社) 40.3
医療法人 32.5
社団・財団法人 10.0
社会福祉法人 7.4
地方公共団体 2.6
協同組合 2.6
日本赤十字社・社会保険関係団体・独立行政法人 2.5
特定非営利活動法人(NPO) 1.8
その他 0.4

訪問看護ステーションのの設置主体は、厚生労働省の「平成26年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、上記のようになります。

設置主体で最も多いのが営利法人(会社)で、次に多いのが医療法人、その次が社団・財団法人ですね。

営利法人の訪問看護ステーションは、東証一部上場しているような超大手企業が運営しているところもありますし、個人が設立した訪問看護ステーションもあります。

営利法人での訪問看護ステーションなら、看護師でも設立し、経営者になることが可能です。

医療法人というのは、病院が設置している訪問看護ステーションで、社団・財団法人というのは、看護協会や医師会が設置している看護協会になります。

看護協会や医師会が設置している訪問看護ステーションは、会社や病院が設置している訪問看護ステーションよりも、職員数が多い傾向にあります。

そのため、機能強化型訪問看護ステーションの要件を満たしている割合が高いと考えられます。

重症患者やターミナル期の患者の訪問看護をしたいという人は、看護協会や医師会が設置している訪問看護ステーションを選ぶと良いかもしれません。

訪問看護ステーションの勤務形態

訪問看護ステーションの勤務形態

訪問看護ステーションでの看護職員の勤務形態は、やはり常勤勤務が一番多くなっています

フルタイムの常勤看護師は73.8%、短時間勤務の常勤看護師は2.1%、非常勤看護師が23.5%、不明が0.6%となっています。

ここで注目すべきは短時間勤務の常勤看護師の割合です。

短時間勤務の常勤とは、厚生労働省が推し進める子育て支援制度の1つで、子どもが3歳になるまで、常勤(正職員)のまま勤務時間を減らすことができるというものです。


「2.1
%って少ないのでは?」と思うかもしれません。

少し古いデータになりますが、日本看護協会の「2012年の病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書」(PDF)では、正規職員(フルタイム)が89.1%、正規職員(短時間勤務)が1.2%、正規職員(産休や育児休暇等で休業中)が4.4%、上記以外が5.1%、無回答が0.2%となっています。

2012年の病院勤務の看護職の勤務形態
つまり、訪問看護ステーションは病院よりも短時間勤務制度を利用しやすい職場環境が整えられているということです。

これを考えると、訪問看護ステーションは、場合によっては病院よりも子育てと仕事を両立しやすい職場が多いと言えるのではないでしょうか?

また、非常勤で働く看護師の割合は、年齢が上がるにつれて多くなっていますので、家庭の事情や体力的なことなどで、常勤ではなく非常勤で働くという選択肢も十分にある職場だと言えます。

訪問看護ステーションは、女性のライフステージに応じたフレキシブルな働き方ができる職場と言えるのかもしれません。

訪問看護ステーションの残業時間

訪問看護ステーションの残業時間

訪問看護ステーションの残業時間の実情を見ていきましょう。

20145月の1ヶ月間で残業をした看護師の割合は、フルタイムの常勤看護師で81.9%、短時間勤務の常勤看護師で55.3%、その他職員で54.1%となっています。

次に、残業をした看護師は、どのくらいの時間残業を強いられたかを確認しましょう。

雇用形態・1か月の超過勤務時間の計出典:日本看護協会「2014年 訪問看護実態調査 報告書 」(PDF) ※クリックで大きい画像に飛びます

フルタイム常勤も、短時間勤務の常勤も、非常勤も、1ヶ月の残業時間が6時間以下の割合が一番多くなっています。

急性期病棟で働く看護師にとっては、「残業が6時間以下なんて、残業がないのと同じでしょう?」と思える人もいるのではないでしょうか?

もちろん、訪問看護ステーションによっては、36時間以上と残業が多いところもありますが、全体的には、訪問看護ステーションは残業が少ない職場と言えるのです。

訪問看護ステーションの給料

訪問看護ステーションの給料

訪問看護ステーションの給料の平均は、フルタイムの常勤看護師で月給337,942、パートタイムの時給の平均は1,641円となっています。

厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」では、看護師の平均月給は331,800円、パートタイムの時給は1,696円です。

これを見ると、訪問看護ステーションの給料は、一般の看護師の給料とほぼ同じですね。

ただ、看護師全体の月給の平均には夜勤をやっている看護師も含まれています。

訪問看護は日勤のみであることを考慮すると、ほかの日勤のみの職場と比べると、給料はやや高めと言えると思います。

訪問看護ステーションの給料の特徴は、給料形態です。

一般的な常勤看護師は月給です。でも、訪問看護ステーションの常勤の場合は、月給制、時給制、日給制、歩合制、年俸制、月給制+歩合制と事業所によって給料形態が違うのです。

もちろん、月給制が84.8%と最も多くなっていますが、時給制が0.3%、日給制が0.1%、歩合制が0.1%、年俸制が4.9%、月給制+歩合制が3.2%となっています。

年俸制はボーナスがない給与形態です。歩合制は、訪問した件数に応じて給料が変わるものですね。

訪問看護ステーションの求人を選ぶ時には、給料形態は必ずチェックしておかなくてはいけません

訪問看護ステーションのオンコール待機

訪問看護ステーションのオンコール待機

訪問看護ステーションの特徴的な勤務に、オンコール待機当番があります。

24時間対応をしている訪問看護ステーションは、夜間・休日はオンコール待機当番を作って、患者さんの緊急時の対応をしています。

オンコール待機をしたことがある割合は、フルタイムの常勤で84.1%、短時間勤務の常勤で42.6%、非常勤で21.2%となっています。

さすがに常勤はオンコール待機当番をする人の割合が多いですが、短時間勤務の常勤や非常勤の場合は、オンコール待機をしなくてよい人の割合が多くなっています

1ヶ月のオンコール待機当番の回数は、フルタイムの常勤看護師で平均9.6回となっていますので、フルタイム常勤で働くと、3日に1回はオンコール待機当番が回ってくることになります。

当番の日は、電話があったらいつでもすぐに出勤できるようにしなければいけないので、ちょっと負担が大きいかもしれません。

ただ、当番日に実際に出動したのは、フルタイムの常勤で平均1.7となっています。

待機当番による行動制限はあるものの、実際の出動回数は12回ですので、病棟の夜勤勤務よりはずっと楽だと思います。

訪問看護ステーションで働くことを決めた理由は何?

看護師が訪問看護ステーションで働くことを決めた理由は何でしょうか?

フルタイム常勤看護師の訪問看護ステーションで働くことを決めた理由ベスト10をご紹介します。

第1位 働きがいがある仕事だから(49.2%)
第2位 自分の理想の看護をやりたかったから(32.3%)
第3位 今後社会で必要とされる仕事だから(28.3%)
第4位 家庭と両立しやすいから(27.7%)
第5位 在宅看護の知識や技術を身につけたかったから(23.1%)
自分の知識や技術が生かせるから(23.1%)
第7位 人や社会の役に立ちたいから(19.2%)
第8位 職場の配置転換や出向で(13.5%)
第9位 自分の都合に合わせて働けるから(10.9%)
第10位 (給与以外の)労働条件が良い(8.0%)

訪問ステーションで働くことを決めた理由は、大きく分けると「やりがいがあること」と「働きやすいこと」の2に分けることができます。

つまり、訪問看護ステーションは「やりがい」と「働きやすさ」を両方を求めることができる職場と言えます。

今の職場でやりがいを感じにくい、家庭との両立が厳しいと感じている人は、訪問看護ステーションへの転職を考えてみると良いのかもしれません。

まとめ

訪問看護ステーションは在宅で療養生活をする患者の支援をするための事業所です。

訪問看護ステーションの実情を見てみると、訪問看護ステーションは看護師にとって働きやすい職場と言えるかもしれません。

また、今後はさらに訪問看護の需要は伸びていくと予想されています。

病院などの医療施設で行き詰まりを感じている人は、訪問看護ステーションへの転職を考えてみると、働きやすさとやりがいの両方を手に入れられるかもしれません。

訪問看護ステーションへの転職を考えている人は、「訪問看護の求人選び|ぜったい失敗しない完全チェックポイント22点!」を参考にして、求人を選ぶと良いでしょう。

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